空売り通信 3月号 最終原稿 文責 猫次郎 19年2月1日
19−3−01
1 巻頭特集 猫次郎の 今月の相場展望
目先225 3月末-年央に向けて15000円を目指すダウントレンドを継続する
1月3日早朝、為替市場でいきなり円の暴騰が起きた。円独歩高で
ドル円で一時104円代までの一気の急騰である。休日早朝の板の薄い所をおそらくはCTAの仕掛けだろうと思われる。ドルショート、株ショートの弱気筋には思いがけない強烈なお年玉となったと思われる。相当のストップロスを巻き込んでミセスワタナベ、ドルロングが瞬殺されているはずで、強気筋には年初から破産続出のFX市場となったことだろう。1月3日は、関東と関西で人身事故で電車がさっそく止まった。後日知る事になるが、この円の急騰で6600名がアカウントがマイナスとなって
追証が発生したとクリック365の担当者が言っていた。大損という意味では1万名以上にアカウントの大半がゼロ、マイナスになる損失が発生していたことになる。
FXトレーダーのjinさんには御愁傷様だとは思うが、新年の希望は脆くも打ち砕かれたという事で、2019年は猫の予定調和通りの「恐慌の年」として今後の日本の戦後経済史に刻まれることになるだろう、と僕は思う。
可哀想にあまりの損失の大きさ(2分で3000万の強制
ロスカット)に寝込んでしまったようだ。材料視されたのは、この日時間外で発表された18/9-12月期のアップルの減収減益予想であった。毎回同じ株安、ドル売り、
先物売りという構図だ。
1月は少し収まっているが現在の
日本株市場をリードするのは外国人(および黒い目の)売りである。米国、欧州の金融緩和の終了とテーパリング、
政策金利の引き上げにより
ソブリン債券バブルは終了し金融資産総体の価格の低下がはっきりとしている。
空売り比率が45%程度が連続している。中長期投資のファンドの大半は債券価格の下落の損失の穴埋めに株式売却で穴埋めしているのが10月からの暴落の正体であるが、
FAANGを中心とした今回の株式相場のハイテク株上昇による利益のまだあるうちに、どんどんと現物株の売却を進めている。ファンドの解約は今後も
金利上昇が続く限り数年間は止まることはないだろう。因にブルームバークの報道によれば、
ヘッジファンドの18年の成果は、軒並み2−6%の損失計上であり、大手顧客の解約が後をたたない。この成績不振を原因とするファンド解約の増加は今後も拡大すると思われる。つまり市場から資金が構造的に逃げて行く状態が続く。下げ相場が常態化する根本的な理由はそれである。
読者を脅すつもりはないが、今後2−3年程度で、1 世界金融恐慌、2 世界企業恐慌 3 世界生活恐慌 の3つのステージで世界規模での金融経済と生活の仕組みが根底から徹底して破壊されていくだろう。
グローバル資本主義体制の完全破壊であり、従来のグローバル政治経済旧体制が完全に崩壊されると思われる。そして破壊された後には瓦礫しか当面は残らない。
1 世界金融恐慌 利上げによる債券急落とその穴埋めに売却される株式暴落によって、上場企業群、生損保、日銀、年金等の金融資産は大幅に劣化して大きな穴が空いて大赤字になる。個人貯蓄も株式の暴落で売りが売りを読んで、資産の大半が現金および預貯金にはりついて総資産価格が縮減することになるだろう。あるいは評価損で数分の一に減価した塩漬け不良資産を10年以上も抱え込むことになる。その間は全く投機は不可能となって人生の成功へのチャンスを永久に失ってしまう。
損切りが重要な成功要素というのは、それが出来る出来ないでその後の人生の展開が全く異なったものになるからだ。1990年の
バブル崩壊に遭遇した自分の親の世代を見ればよい。早く投げたものだけがなんとかその後に助かったのだ。
債券、株式、物価等の急落を受けて、不動産価格も暴落し、異常に値上がりした一部の
都心部の土地、
タワーマンションなどが暴落して中小不動産会社や中小ゼネコンの破綻が次第に表面化してくるだろう。大手企業も負債過多だから長短
金利の上昇と販売用不動産在庫の評価減で多大な損失を計上することになるだろう。上がりすぎた物件価格は、消費者の取得可能価格まで下げるしかないのである。
長期金利が上昇すれば利払いが
不能となって、住宅ローン破産が激増することが予測される。すでにアパートローンで
スルガ銀行の破綻が明らかになってきたが、今後地銀やで
デベロッパーの破綻拡大は必至の状勢である。
金利上昇が続くとローン支払いに窮する人が次々に投げ売りを始める。アパートローンなど不動産担保金融という仕組みそのものが危機に瀕するのは
スルガ銀行の例を見るまでもないことだ。不動産担保金融に傾斜した地銀、
信金の統合、破綻、休業も増加するだろう。間の悪いことに2019年後半からは消費
増税と残業規制による需要減(家計の所得減)20兆円がこれに加わって、19年から日本は深刻な需要不足による大不況に落ち込むだろう。
GDPがこれだけでマイナス3%の規模なのだ。株がそもそも上がるはずもない。上がるどころが投げ売りで底割れして、この6年ほどの上昇のすべてを2−3年で吹き飛ばすことになるだろう。起点の225の2008年の6800円にまで突っ込む場面も2020年秋頃にはあるかもしれないと僕は思っている。
だから当面の間、最初から相場は“BIG SHORT"以外の選択肢がない。この暴落の波に乗るのがとりあえずの目先の仕事である。周囲はきっと一面の強気の死屍累々!!本気で売れば半年ごとに
ロールスロイスが買えるだろうと思う。(別に必要ないし、好きでもないし乗りたいともデザイン的には思わないけれど、洒落にはよいのかもしれない、、、)まあ、控えめに僕は12年落ちの145万円のオンボロ
AUDI A6AVANTを転がして結構満足しているのだが、、。(積算走行8万キロでも250キロでガンガン走る!!)
目先3ヶ月から半年の下値メドは SP500で1800ポイント、現在2510ポイント( 1/3 )なのでここから700ポイント、率で30%の暴落余地を目先残しているかと思う。2月末に中国との貿易交渉の期限、3月末に
イングランドの
ブレグジット期限があることから3月から年央安の値に向け、世界の株式市場は売り材料満載で下落の速度を加速させるものと期待される。
円の独歩高がこれに更に拍車をかけて、225は現在の20000円から15000円程度に急落すると思われる。これは2016年2月、6月のW
ボトムラインであり、ちょうどW底になっているのでここまではほとんど止まる場所が罫線上は見当たらない。少し戻して(下げの1/3戻りほどか?)上値が重くなれば以降はフリーフォール状態が新年しばらくは進行して、18年10月天井からきっちりと6−8ヶ月以上の日柄で下落がどんどんと進むと思われる。上場企業、銀行、損保などの決算時の
ポートフォリオは劣化し、2019年3月決算の
時価評価会計によって決算数値は劇的に悪化する。バリュエーションが劣化するということだ。中には破綻する企業も出てくるだろう。日本以外でもドイツの
ドイツ銀行、
フォルクスワーゲンの
金融危機、米国ではGEの破綻懸念などが噂されている。また
新興国(例、、
パキスタン、
ベネズエラなど)はドル回帰で海外からの投資が引き上げられドル調達に苦心するといういつもの状態になるだろう。新規投資と需要は激減し、エネルギー価格は供給過多で急落中である。バレル30ドル台があるかもしれない。これは20年以上前の価格帯であり、どの
産油国も赤字で売るということになるだろう。経常収支の黒字国はデフレの進行が、赤字国はインフレの進行が進むと思われる。
2 世界企業恐慌 トランプの
アメリカファースト政策は、中国、日本など主要な貿易黒字国からの輸入品の全てに高率関税をかけることになる。自動車に20%の関税がかかればにドイツ車や日本車の輸出競争力は大きく失われる。
円高も加わって
現地生産以外に方法がなくなるから、国内では工場閉鎖、失業の増大、下請け部品企業の破綻など広範囲な経済の規模縮小が起きるだろう。工場立地する
地方自治体の財政も破綻する。
自動車産業は裾野が広いので日本全体、世界全体に与える影響は深刻で、新規の設備投資は止まり、自動車生産関連の経済活動は墓場のように静まりかえる。
日本電産の決算発表の減額修正があったが、中国の需要減はこの30年来で最も急激な減少を見せたという。これと同じことがおそらく今後日本でも起きると見た方が良い。
金融恐慌によって長短
金利が急騰し結果
国債価格が暴落して、日銀は
自己資本8兆円が吹き飛んで
債務超過に陥る。日本発の恐慌の始まりだ。ここで
ドイツ証券が
マネーロンダリングで摘発の危機にある。事態がはっきりすれば、
ドイツ銀行は
アメリカ金融市場から追放される可能性が高い。それはドイツ銀のドル調達を
不能にするから、即座に銀行破綻の危機に瀕することになるだろう。一方、
三菱UFJもFBIから
北朝鮮との取引でマネロン調査を受けているという。マネロンがバレれば、ここも閉めだしとなりドル手当が出来なくなり
金融危機の恐れにつながる。トランプを嘗めると痛いしっぺ返しでは済まないだろう。世界規模でのスーパーバンクが一つでも破綻すれば
リーマンショックの数倍の金融経済恐慌が世界を巻き込むが、イギリスと
アメリカは個別主義に突き進むから全世界が協調して問題を解決する方向には恐らく進まない。国際金融秩序(
グローバル資本主義)の崩壊する瞬間である。貿易が停止し、金融と為替が凍り付き、経済は心肺停止状態に落ち込むことになる。問題解決の具体的処方箋は残念ながら誰も知らない。これにより最も経済的に打撃を受けるのは、資源とエネルギーがない日本である。
憲法改正が出来ない限り、日銀をBAIL OUTで処理することは法的には不可能だ。(非常事態宣言で国民の預金を封鎖してその一部を日銀の
債務超過の穴埋めに使用するなど外部からの資金で処理するのをBAIL OUTという。)
それなら BAIL IN しか手段はない。長短
金利が急騰して
国債と株式が暴落するとふくれあがった日銀資産は
債務超過に容易に転落する。たった8兆円の
自己資本で500兆円の負債を抱えているのだ。2%の資産価格の下落で即、日銀は
債務超過に転落する。その処理をどうするのか?日銀に預けられた都銀、地銀の法定預金を付け替えれば、今度は銀行が
債務超過に陥る。即座に日本中で
取り付け騒ぎが起きるだろう。パニックで社会活動が停止する。日銀を解体するということは政府が
中央銀行を失うということであり、混乱の極みということになるだろう。同時に
国債の暴落により
短期金利の暴騰が起きて、それが債券市場、株式市場を直撃して
国債金利が急騰して価格暴落や取引停止を引き起こす。
社債市場も投げ売りとなり、企業の資金調達手段は閉ざされ、自己資金の不足した企業からバタバタと倒産していく。
貸し渋り、
貸し剥がしが横行して、地銀を中心に取り付けが起きる。経済のハルマゲドンが起きるだろう。
3 世界生活恐慌
日銀が
債務超過となり、円の供給がストップすれば円は使用価値の背景が喪失する。年金の支給ができなくなると同時に企業は給料の支払いが
不能になり、賃金、年金を生活手段にしていた老人層、労働者層が干上がる。餓死、盗難、強盗、詐欺、自殺など犯罪が激発して社会治安に深刻な打撃となるだろう。倒産企業が続発して雇用は失われ、賃金未払い、解雇、失業保険の支払い
不能、銀行取引の広範囲な停止など、ありとあらゆる負の側面が表面化していく可能性がある。
一度パニックが起きると株式、債券、不動産、金、現物市場はすべて投げ売りの対象となって現金しか誰も信じなくなる。相場というものは落ちるところまで落ちないと価格低下は止まらない。こうして大デフレ時代が数年間続くことになるだろう。
医療保険も停止して、現金で支払いが可能な金持ち層しか医療サービスを受けられない状態になるから、老人の死亡率が激増する。日本人の平均余命は劇的に下がることが予想される。金融恐慌から始まったハルマゲドンがついに現代人の生活を根底から破壊して治安が著しく劣化し、生活全体もハルマゲドンとなる。都市がアマゾンの奥地のように原始化していく事だろう。
株式や
為替相場の高下で儲かった、損をしたというような個人レベルの話なら誰がどうなろうが所詮は可愛いものである。買い方も売り方も双方が決済
不能になって、金融システム自体が機能喪失を引き起こすシステムクラッシュの危機がこのように目前に迫ってる。それは拡大しすぎた
デリバティブ金融によって調達した負債の固まりを誰もが制御できないレヴェルに拡大してしまっているせいだろう。それは80年代から拡大したゴールドマンサックスが開発した未曾有の
デリバティブ金融のせいである。これがある限りクラッシュの危機は永久に無くならないのである。その危機に瀕して個人が出来ることは 「常にある程度の生活に必要な現金とショートポジションをキープする 」こと以外には具体的にないだろうと個人的には思う。
毎回クドいが、株式および債券を当面3年間程度は(コツンと底打ちするまでは)絶対に買ってはならない。相場が底に到達するのはまだはるか先だ。ただ戻りを1000回,2000回と空売れ。あるいは
プットオプションを買え。他には何もするな。下手な事をすればするほど損になるからだ。