国営放送の番組に「72時間」というのがある。ある特定の場所(スペース)で72時間ずっとカメラを回す。そこで何が起きるのかというのを72時間(タイム)録画して後で1時間に編集しなおすというものだ。72時間分は取りっぱなしで、その中で意味ある(シニフィユ)部分を取り出して編成して見せることである印象や意味を視聴者に問う(シニフィアン)実験だ。ある程度地理的な位置に関しては、意外な場所という予想があるんだろうし、それが企画者の意図なんだろうが、その意図とは中心でない場所=権力や価値の中心から通り場所、つまり「辺境」である。
ノマドロジーこそ相場師の特権と自認する僕としては、その種の放浪する人々=権力の中心にいる事を拒絶するアウトサイダーな人たちがどんな世代にもいるんだなという懐かしい想いになる。先日はシャケバイという季節労働者たちだった。1年に2ヶ月ぐらいシャケが取れる時期だけ募集するシャケ解体の仕事をする泊まり込みのお仕事である。
シャケバイは20代から40代の男女で、1年に2ヶ月ぐらい北の国に集まって、取れたシャケの解体を仕事にするバイトだ。住み込みで飯付き。6畳に4人が共同生活して大体25万ぐらいのバイト料になる。全国から季節労働を求めて放浪する旅人たちが集まって来る。特に屈強の男子たちという感じはない。普通の男女だが、「束縛されるのが嫌いな人、自由に支配されずに暮らすことが好きな人、どうせ1度の人生だから自分の好きなように暮らしたい人」などが多いようだ。それでも彼らも不安はあって、親に心配をかけているのが悩みとか将来ずっとこのままではすまないなとかこのままでは結婚して子供を欲しいのが無理だなとかは感じてるらしい。都会でプログラマーをしていたとか看護士をしていたとか職歴は様々だが、みなさん普通の人である。それがある日、プッツンと切れて以前の都会の仕事を止めようと思ったらしい。そしてぶらぶらしていたら、こんなバイトが有る事に気がついて、始めて見たら「ハマった」という。もう8回目というベテランオの40代の人もいた。どこか学生時代の合宿生活のような雰囲気でピリピリとした感じが全くしないのだ。かといって仕事だから手を抜くというような事もないし、ちゃんと連帯して補完しながら業務を淡々と進めて行く真面目な人たちだった。
自分で選んで、自分で気に入った事を、あまり長い期間束縛されないで生活に必要なだけ稼いだらそれでおしまい。また旅に出て、次の季節労働をする。こういう放浪や自分の好きな生活や旅が中心の働きかたというのは、ジャックケルヤックの時代のアメリカで、主人公が旅費が切れた時にマイアミの綿農園で綿摘みの仕事を2週ぐらいして何十ドルか稼いだのと同じような働きかただ。僕はこういう貴重な経験が国内ではないのだが「定住、定着、定職」という都市の概念とは対極にある働きと暮らしである。出稼ぎというのとも少し異なる。仕送りをして家族を養うという止むに止まれぬ事情というような量の必要性のない仕事だ。自分の当面の食い扶持のための狩猟的というか採集的な労働とでも言うのだろう。相場師とはある意味、道具は金と場帳と玉帳、グラフ2種というだけの差でシャケバイにすごく近いんじゃないのかいと思うのだ。金がいるなら働くが、あとは寝ているだけだ。ただしロットを少しかますことが出来るようになると月に250万とか2500万とかの利食いは十分可能である。ただし毎月定額で取るのは困難で、波次第ということで、これはシャケだって取れる時は取れるし、ダメな時は坊主だろう。これも似ている。
取りかたコツは様々だが、上げ相場と思っても曲がって月足陰線だとか、下げ相場と思っても曲がって月足陽線だったりとかいろいろ予定の通りには無論いかないが、うまいことリズムの波に乗れば片張りでも逆方向で曲がっても無論利食いである。
例を先月の僕の場帳で説明する。
A 1852 浅沼組 B 6675 サクサHだ。
Aは 1/16 166 −1
2/20 140 −1 と先月まで買っていた。間抜けで間延びなナンピン2分割だ。ここから8ヶ月たって
10/24 165 1−
10/27 173 1−と分けて売った。
その後 2週経って、いつも通りに新値7本で押したから、まあいいかな?で
11/14 152 −1 と拾う。翌日以降下値がないので入れない。失敗である。
その後 また2週経って、 11/27 164 1− 後場寄りで落としている。なんか気に入らないからだ。利食いの失敗例である。買いたいという感じが出で来ないうちに上げたのだからダメにきまってら。ダメを反復しても感覚は醸成されることはないから意味のない金である。
買いは 166、140、152で平均は152.66
売りは 165,173,164で平均は167.33 たったの15円平均しか抜けていない。9.6%だ。
ただし前2枚は月足陽線の買いで取れているが、最後の1枚は 月足は 177 178 150 163で月足は陰線だが、突っ込みを拾って戻りを売れたから陰線を買いで利食いになっている。すべて「感じ」の売買である。売買した当日はマーキングの高低をかなり正確に捉えているが、これは慣れである。他に言いようがない。場帳を今まで20年で多分55200枚(20年、12ヶ月、230銘柄の酒田だ)ほど書いているはずだからなんとなく分かるのである。ひよこさんの言う変態度と作業量と言えるだろう。(俺、Hのほうはへテロでホモじゃないです!子供も二人いるし、、)
僕が売買譜を上げる相手は、日柄の調整を矯正する必要が少しあるなと思う水準に達した人で、ひよこさん、シホさんには具体譜を上げている。それは彼女たちが譜を読む力があるのと売買に自分のなりの型を作りつつあるからで、、多分目標とする建て、維持、落としを僕の譜を少し単純化して現在の売買の質を変えることが可能だろうと思うからだ。現時点で可能性の無い人に書いても意味がないし、かえって混乱して仇になることが分かるからである。感覚と技術の水準に応じて書く内容は無論異なるのが「教えかた」のコツなのは300−400名もド下手ばかりを見て来たからだ。説明して意味がある対象はせいぜい読者全体の5%程度しかいない(15−20名)のが現実で、あとは基礎が出来ていないと数年で全員お釈迦になる。基礎が出来ないのに天井でドテンなんて1万年たっても出来っこないのは当然だろう。だから普通の人は相場なんて辞めとけばと書くのである。相場はエリート総取りの世界であるのは言うまでもない。普通の会社では、どんなに良い学歴(例えば東大法学部卒)でも大卒同期ならせいぜい10−20倍という所だろう。(平取2000万、社長2億とか)相場師はド下手は毎年マイナス数千万でトップは無論、億以上が当然で無限大ぐらいの差に当然なってくる。その差とは個人の感覚と技術ということになる。
B 6675 サクサH
これは 1/7 161 −2と買っていた。動かんので放置していたら材料でストップした。中身はなんだか知らないし、知る必要はない。値動きだけ見ていれば宜しい。
11/18 いきなりストップ高した。面倒なので引けを2−と売った。多分早いがダルいので嫌になっていた。
17日が出来高29が18日は18596だ。発行は86000だから出来過ぎだ。それでも11/20には
328 356 300 342 陰線 245150と出来た。上がり過ぎであるから、11/21朝なりで
1− 316と売ってみた。売った感じが弱いので後場 乗せて 2− 297とした
(303.3)3−0 2分割の仕掛けだ。
11/26 急落したので 後場 −1 297 と買い落ち
11/27 また急落で買い落ち −2 279 で一旦○にした。
戻りが鈍いので引け前に また 275 2−と売り新規
11/28 戻りがあってので売り乗せ 282 1− (277.3)3− となっている。
都合 94+19+36 149が実現益である。これも失敗だ。2−3枚しか建てていないからお遊びである。
11月は 161 356 152 271 で長い陽線であるが、上げで取れたのは94円、下げで取ったのは55円だ。どっちでも良いのである。買っても売っても感覚と技術であり、予想が曲がっても取れるのである。ひよこさんが低位株の空売りを担がれて何度かビビったというのは、売りのタイミングが早すぎるからである、値が伸びなくなった、出来高が異常値になったらほどなく崩れる。そこを静かにふわっと置くように1−と売れば良い。感じで良いなら乗せて行く。
無論、乗せは逆張りであるほうが良いが、崩れる時は待ったら売れないことも多いのだから、あとは感じと経験だ。30回もやれば大体できるようになるだろう。
注意事項は、常にずっと場帳をつけていたものをやる事だ。値癖に慣れがあるなしが決定的な違いである。下手な人は上昇率リストを見てやるのだが、慣れがないから失敗で担がれるのが当然だろうと思う。値癖がわからんでどうやって玉を重ねるのだろう?どれぐらい日柄を引っ張るのが安全か?そういうことは慣れ以外わからないことである。
ただし僕は常に−1000とか−800とかの現物買い玉が現在常にあるから売り玉がないほうが不自然なのだ。立花さんだって1−2割は繫の玉を建てる。なぜしないのかは売買が忙しくなるのが嫌なのである。繫の利食いはマメにやれば最低でも年間で1000−1500は取れるが、「取りたくない」のである。理由は暇なのが好きだからだ。それに取る必要性もないからでもある。
ひよこさんは現在長っパリで−10の玉を操るための操作の型を試行錯誤している。それは彼女なりの気持ちのよい無理のない型でないと長くは続かない。教科書的な事は爺さんや立花さんの本で理解できるのだから、あとは自分の分割の型を数年かけて作っていくことが重要である。シホさんも酒田の場帳をマイーキングすることで
建てと落としのポイントで2分割を始めて 1−2の型を作ろうとしている。それで波に乗っていく感じが何度も何十回もくり返すとある日 −1 −1が変るのだ。
−1 −2 −1 −2かもしれないし −1 −1 −1 −3 −5かもしれない。自分のタイミングとインターバルと資金量に応じて型が自然に出来てくるまで「反復」をただ続けることである。1000人に1人の相場師はそうやってでき上がる確信が僕にはある。だから基礎をとにかく3年は最低でも頑張れ!!!