銘柄選択と仕掛けのタイミングというのにも好みと慣れがある。詳しくは基礎を学ぶために林サンや旭さんが書いたFAIクラブの教科書をまずよく読むことだろう。実に詳しく買いの片張りの基礎の基礎をしかもリスクの少ない簡単なやり方を書いているから、それで数年自分でリズムやうねりを上げだけ取ってみて、その後自分なりのやり方に固まって行くというのが初心者にとっては確実性の高い練習法である。旭さんは500万ぐらいで始めて3億になったということだ。すごい努力をした女性で尊敬する。実に真面目を絵に描いたような人柄で僕には真似できない。読んでいない人は読むと良い。『やさしい低位株投資」という本で研究所で売っていると思う。僕は脱アマ相場師列伝の銀流しの安さんの印象が強烈でできるならそういうメタフォリカルな相場師になりたいと思った。猫を可愛がるような玉の操作というのが素敵でだから猫次郎という名前にしたのだ。感覚の人、悦楽の人である。だから苦労なんて感覚的にしたくない。きっと動物に近いのだろうと思う。動物は貯蓄をしない。腹が一杯な時は寝ているその日暮らしのボヘミアン。
今日は僕のやり方を少し具体的に教えよう、真似る必要は無いし、多分真似は初心者では無理だろう。でも基礎を10年ぐらいしたら少し似てくる人も出るだろう。読んでもチンプンカンプンというケースも多いだろう。そういう人は旭さんを読みなさい。あれはわかりやすいから。
現在僕は会報を取っていないから、クラブがどんな銘柄を選んでいるかは全く知らない。2000年から2年ほど取っていた時に買い銘柄で成功したものに3107ダイワボウがあったので、そのグラフを例に上げる。それから10年経ったが今も良いタイミングにあると個人的には思うし、試しを建てて落としたところだ。さてそろそろ本玉を行くかなというのはグラフと場帳の感じからの感覚的な判断である。
これも1965年からの50年グラフで、現在は1983年からしかヤフーファイナンスでは資料が取れないが、それでも宜しい。まず30年を書いてみたら良い。赤いボールペンが3つ、グリーンが一つ置いてある。グリーンは当時林サンが買い銘柄に選んだタイミングで、まさに暴騰直線の神業だったが、まあまぐれ当たりという幸運だろう。赤いタイミングは、目先のどん底から少し上がって押し目を作っている所だ。僕はどの銘柄もこういう場所が特に好きだ。最安値から1.5−2年程度戻して押した所。ちょうど戻りの途中で何本か短陰線を引きながら戻す過程で短陰線7−8本目ぐらいの場所を指している。どん底からその前の高値ぐらいまで一旦戻る、そこで少し揉んで押しを見せる。いわゆる初押しから2番目の押しぐらいのタイミングになりやすい。300枚も長期グラフを書くと、下げ方、底練りの形、戻りの形、その後の押し、力動的な上げ、天井、暴落という循環で大半の低位株が動くという現象がほとんど共通して観察されるはずで、業種、業績、金利、利益にほとんど無関係で動く様が確認出来るだろう。つまり人気の盛り上がり方こそが全てを決めるという事である。ここまでは長期グラフを300−400枚書けばどんな馬鹿でも分かる。
さて上げを取るなら上げるという現象を数値で確認する必要が有る。具体的に言えば年間最安値が年を追って切り上がる、高値も切り上げるというのが基本の上げのスタイルだから、グラフでそういう場所を見れば良い。赤の左の1983年からの上げ、中央の赤の2003年からの上げ、右の2011年からの上げの3つが類似性を持って視覚的に確認できると思う。さて次は試し玉だ。のんきなやる気の無い試しというものもある。
2011 3.23 165 −1
−3
3.25 175 −2a
2013 5.2 183 3−
12.17 199 3−
2分割の試しを2口座でやっているのでわかりにくいが170円の買い平均を2年以上ほったらかして昨年5月と年末に落とした。試しだから利益が目的ではない。たったの20円の6枚で飯が食えるはずはない。それでも一旦は仕切る。持続した、あるいは仕切った感じが重要で、この感じだけで僕は飯を食っている。いわゆる変動感覚の確認作業である。が試しというのはそういう個人的な感覚の確認で、しかもゆっくりと建ててどうなるか見ている。12年の夏の安値が11年の原発事故の安値を切らないか?切らなかったから持続した。切れば損切りした思う。この間6ヶ月周期で短い陰陽線の繰り返しで底練りをしている。それが分かれば良い。切らなかったという事で底が入ったろうと見当をつけて他の低位株を50枚ほど少し建てた。つまり3107で他のものの代わりに使っているということだ。低位は大体同じような動きになりやすいからだ。30も40もやればいちいちそれぞれを試すのは手間だからだ。各銘柄10枚ほど安値で仕込み始める。8803とか8585とか8303とか6701,6703などの主力を中心にした。どれもその後3−4倍に化けている。つまり当てずっぽうの3107は試しとして有効だったという結論になるだろう。これで取らんでも他が取れればよいのだから。
一方3107は70円上げて50円押す。80円上げて60円押すという繰り返しをしている。本玉を入れるのは上げの値幅が出る前で良いから現在は丸だが、回転が始まりそうなら40枚という決めた量まで一気に入ることになるだろう。ポツンと買って放置して溜めるという本玉の入れ方の事もあるし、試し玉の感触で引きつけてから一気に建てるという時もある。上げというのは最初は値幅が出ないし時間がかかるが、最後は棒上げになることが低位株の値動きの癖であり、昔の仕手株系のものはそれが極端になりやすい。だから僕の選ぶものはそういう化ける癖を持ったものばかりをくるくる回転させるという好みになってしまった。これも僕個人の好みとやり方ということで自然にそうなった。結果的に上げ相場はそういうやり方が合っていると自分では感じている。ベンチマークのtopixを大きくアウトパフォームしているうちは多分変えないだろうと思う。別に運用競争には興味は無いが方法論として有効という事だからだ。
3107に代表される主力以外の低位株は現在出遅れの典型だから次の上げは大きく派手になる可能性が高い。買われていない分手垢がついていないからだ。初回の相場で最も上げたのは業種で言うと、不動産、証券、その他金融だと思う。金融相場だから資産性の高い物が本命となるのは当然で今後も中心になるだろうが、初動の上げが極端に短期で大きかったためにその後の調整に現在日柄を要している。深押しで目先の強気の振り落とし。手垢を落とし切ったら嘘のように動き出す。そんなグラフが多いと思う。それはこのグラフで見ると1982−84にかけての線組に極似している。目先の高値から月足陰線で7−8本目で押し目完了といういう線組である。ちょうど目先の高値から1−1.5年ほどで調整が終わり出直るという動きになりやすい。これを2段整理、新値2段整理という。今回もまた3月には8585,8589,8617ともに陽転した。これらはポツンポツンで定量建てが終わって上げ待ちの状態にある。本玉を建てるかどうかという手前は試し玉を建てる、落とすということをしてみる。それは感じを見るためであり、その感じとは値動きのリズムの感じ(3手5手とか)、値動きの強さの感じ(20円上げて10円押すとか)、値動きのインターバルの感じ(8週上げて4週押すとか)というのを場帳と折れ線で確認しているからだ。それで良いなと思った物を定量まで建てて行く、しかもゆっくりと日柄をかけて建てるのが基本形である。3ヶ月から半年ぐらいかけてポツンポツンとやる気のない建てである。ゆっくりと建てる、みんなが投げる時は建てるというのが癖だ。最初は−1で良い。−1 −1 −2 −1 −1 −3 −5 −5 −10 −10 ぐらいの型が僕は多いと思うが、急げば−5 −5 −10 −20となる。
ゆっくりやるのは難しい。どうしても急いて早くなる。林さんが僕の玉帳を1分見て言ったのは「もっとゆっくりとした売買をしなさい。あと休みを入れなさい。」そう指摘されてから18年経つが、まだ未だに早いと自覚している。それぐらいゆっくり操作するのは難しいと思う。
どんな建てでも最初に −1 −1と等分割をやるのは感覚のためであり、それが100枚でも1000枚でも−1−1の変形でしかないのだ。だから−1でつまずいたものは利でも損でも落として休む。3401が失敗して休んだ例である。−1の後に下値に−1が入らない。欲張り過ぎたタイミングでもう自分の感覚が狂っているという自覚があるから入らない。他に合うものはいくらでもあるのだから縁がないものは外すということである。やれば無論利食いにはなるだろうが、それではベストの感覚とズレが出る、それがその後の命取りという場面を何度も経験すれば、手が合わないものは怖いから近寄らないという慎重さが生まれる。つまり好きな女としか寝ないという慎重さなんだな。3401は連続陽線の線組でじり高だから逆張りに合わないというか深押しがないから僕のように新値5−8本で入るような逆張りには向かないということだ。これも操作の癖と相手との相性の問題の好き嫌いであって、善し悪しではないから誤解しないように。ベトナムさんには手が合うが僕には会わないだけの事である。初心者の頃から力づくで相場を張って取るのに慣れてしまうと失敗した時は致命傷になるという経験を一度でもすれば臆病に、慎重になるものだ。このように好みと癖というのは人それそれだから、自分也の感じとやり方を10年ぐらいかけて固めていくというのが仕事の本質的な目的である。固まれば結果的にアホでも金になる。固まらないと一時的に1−2億は出来てもすぐに曲がってお釈迦になる。それには10年ぐらいの時間や経験がどうしても必要だから、大きな上げと下げが嫌でも必ずやってくる。つまり空売りでないと取れない時間帯が必ず2−3年は挟まるのだ。だから枚数は少なくても良いから必ず初心者の時から売りを覚えるという必要に迫られる。山種が2−2を外す練習を最初からさせたのはそういう理由だ。グラフを見ればどんな銘柄も周期性のあるものは上げの時期より下げの時期のほうが絶対時間は長いのだ。しかも天から一気に崩れるという共通性がある。大半の初心者は買いでコツコツ儲けを積み上げてもここで9割以上が即死になるのである。上げが下げに、下げが上げにあるいは保合いに変わる周期は3ヶ月およびその整数倍である。最近の低位株は6ヶ月が多いが、これもいつ変わるかわからない。だからそういうタイミングは特に注意が必要なのは言うまでもない。折れ線を20−30本長期に(10年分ぐらい)書けばそういう動きがすぐにわかるはずである。だから道具の整備は基礎を身体で覚えるのに必須の条件であり、その受け止め方が強いほど感覚の醸成は早まる。グラフと場帳が手書きが必須なのは手で書くと身体的な行為のほうが目で追うだけより数倍受け止め方が強いからだ。鼻差、首の差一つで数千万、数億変わる世界だという自覚が初心者には全くないのだから時間の問題でお釈迦になるに決まってる。マグレは何度も長くは続かないのである。感覚が全ての仕事なのだから4本値を書くと同時にもう勝手に身体が−1とか1−とか動いているようになるまで書くというのが量的な練習の目処である。考えて建てているようでは感覚は出来ていないと思われる。立花さんはそれを反射と言った。値動きに対して勝手に身体が動くようになるまで基礎の分割の練習を何度となく繰り返し練習する。大きな上げや下げの必要は無い。100−200円のもので20−30円変動して5−10円抜ければそれで満点なのだ。利食いの感じ、損切りの感じを重ねていく。仕切った感じを重ねて行くことで自分のタイミングのズレを波に合わせて行くのが初歩の上達のコツだ。3手押して5手上げたとして、2手と3手目で買い、陽転して5手で仕切れるか、そんな単純な事が技術の本質である。簡単そうに見えるが個別に動きが異なるからなかなか最初は合わないのである。自分で実行してみれば実感できると思う。猫塾で特訓コースを作って月一で京都と東京で会合しながら60名に手取り足取り教えてもなんとか出来たのは3名だけだった。率だと5%だ。そんな比率でしか出来るようにならないのである。一々箸の上げ下げまで指摘してもこういう結果なのである。だから理屈で相場を張ればすぐに曲がるのだ。ニュースや新聞は見るなというのはノイズになるからだ。値動きだけ見て動くのが相場師の仕事の本質なのである。それがマジ出来ない人ばかりなのである。だから大卒はアホばかりという印象。何故か関西の人のほうが良い結果だった。
以上が僕の具体的なやり方の概要を理屈っぽく説明してみた。本人はこんなこと実際はかけらも考えないで感覚張りで動く、休むしかしていない。だがそういう動きに結果的に総合してなったというのは、道具の整備と基礎の繰り返しの無限とも言える反復の成果であるのは俺が言うんだから間違いない。俺に出来て君に出来ない理由があるのか?多分、やれば誰にでも出来る、時間は無論かかるし、かったるいのは当然だが、、。俺で18年だし、ベトナムさんは俺より頭が良いから13年だし。するかせんかは自分で決めろ。方法なんてちゃんと基礎さえすれば何でもいいんだよ。要はそれをするかどうかだけのこと。
現在は安値にある低位株は暴落の心配は当面ないから買いの片張りで取るのが楽だと思うが、数年後には当然ヤバい時間帯になるだろう。その時は休むという選択肢が最も重要である。その後の下げを空売りで取るにしても天井圏は一旦休みを入れる。林サンは1988.5−8.5の1年を休んだ。まさに天才である。あぶない感じがしたんだろう。指数は上げても値が伸びないのが嫌な感じだったと思われる。この天井付近の(1988.5月頃)あぶない感じだけで彼の相場師としての評価の大半は決まったと僕は思う。その後のドテンまでの1年の休みが相場師としての真骨頂であると言える。