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猫次郎のなんたらかんたら書き放題
お山の上から鴨を食うノマドライフは極楽ね

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イメージの詩

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40歳未満にグラフの会の年齢制限をつけたのは理由がある。10年ほど前、猫塾という相場塾をWEB上で始めて結果的に500名ほどの塾生が集まったことがあった。もともと教師に向いた性格ではないし、教師のノウハウがあるわけでもない。まあ小さな40名ほどの会社のボスを何社かしたことがあるから「群れ」の扱いには少しは慣れがあったのだろうが、会社を転がすことと人にものを教えることは全く仕事の質が異なる。
  第一、動機が不純で「相場師の出会い系サイト」という名前でやったのは「もしかして絶世の若い美女が来たらラッキーじゃない?」というスケベ男の趣味的幻想なのである。でも考えて見ると相場をするにはお金がいる。つまり貯金をコツコツ最初は溜めるという地味な仕事の前提の上に成り立つことが大半だろう。中には遺産が入ってガッポリラッキーみたいな人もいるかもしれないが、そういう人はオネーチャンというよりはオバアに近い。「そうかあ?相場をするような女子は年を喰ってるんだ!」と入会履歴を見て僕は愕然としたのだ。それぐらい常に僕は「世間知らず」なのである。自分が18歳で始めたのだから、現代のオネーチャンも同じだろうというぐらいの的外れな想像力しかない。「自分は特殊」という自意識が全く無い人のよくやる思い違いということなのだ。フェリックスガタリは精神科医である。(いきなり飛んで御免)彼はドルーズと「資本主義と分裂症」について歴史に残る著作を書いた。あの「ミルプラトー(1000の高原)」と「アンチオイディプス」である。この2冊は僕が会社経営を40歳で辞めて、本格的に月足グラフ素描を開始した時、同時に250銘柄の場帳を毎日書き始めた時に、万年筆を神田の専門店で買った時に同時に買った古本である。ペンはペリカンスーベレーンEFだった。さすがに腰が抜けて10年で買い替えになったが良いペンだった。億以上稼いだペンである。と同時に僕を支えたテキストがこの2冊だったということもある。
 何一つ相場のことは書いていない。一行も書いていないのだが、僕にとっての「資本主義のイメージ=僕たちの生きている現実社会のイメージと諸問題」の全ての答のヒントがここにあったと思っている。「相場文学」ってアリか?獅子文六の「大番」以来、優れた相場文学があまりない。アメリカで数冊あるが、なんかアメリカンでピンと来ない。東京を舞台になんかオモロい相場の世界で個人が生きるドタバタ文学というのはあってもいいなと思うのだが、ブログを始めてみたのはそんな気持ちもあったからだろう。「日記文学」というジャンルがあるのだから(アメリカのサートンとか)ブログ相場文学というのもあるかもしれない。文学史的な評価なんてどういでも良いから、なんか書きたい。書くにはネタもいるし、程度アクセスがないと反応がないので手応えに薄い。1日1000ぐらい集まればなんとかなるか?という数値的なぼんやり目標があった。かといって無関係を呼び込むと、アマチュアが入って相場をやるとすぐにオケラが99%の世界だから人迷惑になる。知らない人なら知らないですむが、会ってもいない人でも教えた人が潰れると寝覚めは悪い。もうこの年になるとお金はそんなに必要ないからどうでも良いのだ。豪邸建ててロールスゴースト乗っても伊豆なら2−3億だ。別にやりたければやれば良いだけの事。好んで国税の餌食になることもない。黙って死んでいくことにやぶさかではない。親父の死んだ年まであと2年。遺伝子から考えてそう大きく変わるとも思えないからだ。
 僕の生徒や弟子は大半が相場戦略研究所と林さんの所からきた人である。100%とは言わんが95%ぐらいはそうだ。僕からリンクを張ったことは一度もないし、第一リンクの張り方を知らない。全部部下に「やっとけ」仕事しか出来ないからだ。生徒や弟子は道具も言葉も彼の本を一応は10冊程度は読んでいる前提がないと言葉の意味が理解できないし、そういう世界があること自体が理解できない。林さんが80過ぎで僕が50だったから親子ほどの差がある。2チャンのスレッドも同じように建ったし、あることないこと書かれては良い宣伝にはなったが、客の質がどうしても落ちる。金には多少はなったんだろうが、目的、手段、結果の因果にあまり良いとも思えなかった。
 そのとき82歳の生徒が来た。Gさんという女性である。リズムの5枚のコロコロがお上手で、ちょうどひよこちゃんみたいに軽やかな操作が上手いのだ。売りも買いも出来る。分割も玉の重ねもできる。平均値の操作(不等分割)もベトナムさんみたいに出来るのだ。稀に見る上手さ!自分の母親のような年の人である。丁寧な手書きの封書を便せん10枚ほど戴いて玉操作の指導をしろというお願いである。「重い!」と正直感じた。お手紙には息子たち(57と53)に相場なんてやるなと言われている。亭主は病気で入退院を何度もしてこの先そんなに長くない。毎日世話と看病では気が滅入る。林さんに教わったが細かいことは言ってくれない。そのうち亭主が死ねば私一人ですることがなくなると困るので「ある程度大きな資金で流れるような玉操作のうねり取りをやって死にたい。」というご要望なのである。したいことのイメージは固まっている。状態は理想的ではあるが、「時間」の問題がある。「あと何年あるか?」教えるほうも教わるほうも嫌でも数えるだろう。僕には自信がなかった。
 それでも体調の良い時は毎月 講習会に来て一番前の席で熱心に僕の猫節を聞いてくれた人だった。半年ぐらいしてまたお手紙。「亭主が死んだ。これからは雑事がないので、思い切り相場がしたい。」とある。 「重い!実に重い!」
 そう思うぐらいだから「先生」はやめて欲しいのである。先生というのはその責任を全人格で受けとめるお仕事である。そんなものは僕にはないのだ。それ以来、弟子を取るのはやめた。操作や方法は少しなら教えることは出来るが、それ以外は無理である。それなのにまた先週72歳の方からメールがあって、グラフの会に来たいという趣旨だった。
僕があと数年でどうにかなるという年なのに、バトンを渡す相手が年上では意味を失うと正直に思う。だから40歳なのだ。

 昔話しに付き合って欲しい。吉田拓郎の古い詩に「イメージの詩」という名曲がある。

   「これこそはと信じられるものが この世にあるだろうか?
    信じるものがあったとしても 信じないそぶり」

少しひねくれたシニカルな青年の詩だ。赤い総評のハチマキをしてパトカー6台を集めた集会でビールケースの上に立った僕は
『シュプレヒコール!! 我々は資本主義の独善的横暴を許さないぞう!!』
そんなテキストを僕はリフレインで叫んでいたように思う。そんな僕はその後会社をやったり、相場をしたりしている。皮肉なものだ。トロツキーとアルチュセールが好きだったくせに(笑)、、。


さて初心者がとても増えてきたようだ。お時間の無い人も多いようだ。時間はどんな人にとっても人生最大の財産だ、間違いない。あなたのそれを奪う権利は無論僕には無い。だから「これをしろ」という権利も資格も無論僕には無い。それでもなお「間違いがない」ために書いたことを出来れば許すかぎりしてほしいと思う。それはあなたの「イメージの詩」をあなた自信が作るためなのだ。

8088 岩谷産業
8585 Orico    この2つをネットのグラフで良いから比較してほしい。

先行するものそれを追うものというイメージだ。
8088  96.6   640    06.1  502   年初来高値更新 745  14.6.27
8585  96.7  1474    05.11 585   年初来高値更新 267    同


 たたかい続ける人のこころを
 誰もがわかっているなら
 たたかい続ける人のこころは
 あんなには燃えないだろう

 傷つけあうのが 恐かった昔は
 遠い過去のこと
 人には人を傷つける
 力があったんだろう              

      「イメージの詩」吉田拓郎 詩 より転載
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月曜は納会だ。週末ということもあり後場寄り、先物4000枚利食い売りということだったらしいが、結局指数は崩れたが低位株の大半は切り返すものも多く、小安いものも連れ安程度でしっかりの月末となっている。今月も陽線が圧倒的な比率で多いという結果となろう。
戻り高値を来月ぐらいには取ってきそうではある。あと1000円程度の225ならじり高でも7月のどこかで抜いて、その後の踏み上げでポーンという大スターマインの火柱高がメインシナリオとなりそうだ。買い玉は押目を増すチャンスということにきっとなるんだろう。
前半は年初が高く、2−5月にかけて安値のレンジに売り込んではみたものの崩せなかったという事実が残る。これは重大な事実であって、下を崩せないなら上以外に無いわけで当然上がる。その上がり方も問題で、「ジリ高」という理想的な初動の上げだから、これは踏みにくい。最後まで売り玉が残って、スターマインの火薬装填と同じことになると思う。昨年9月の建設株の急騰時も同じような動きがあったのだ。100円で大量に仕込んだ熊谷組とか世紀東急、佐田、北野、三井住友など15万株ぐらいが急騰して2週もしないで倍加した。僕は月足だけ見て、6−8月の小安い所をポツポツ拾ってじっと待っていた。まあ財政が緩んで消費増税すれば公共投資を無理ヤリでもしたい自民だから、春の相場が地味だった建設の順番はいずれ来ると踏んで、安いものを拾うということばかりしていた。と同時に春の主役だった証券、その他金融、不動産の安いものを試しから買い下がるといういつもの通りのうねりの2回目の仕込みでゆっくりと拾っていた。
 突如、なんのマグレかオリンピックが決まって吹き上げる。2−3倍はザラというような短期急騰だから出来高が凄い。熊谷なんて毎日億以上の出来高でもうお祭りの回転高速売買だから、あっという間に売り方は踏みになる。それでも高値で少し揉むとまた売りが入る。その後5−7本の100円幅の安値を見れば「崩れた」と誰もが思うのか、まだ崩れていないものに大きく空売りが入る。その時は安藤建設だった。100円が400円を超えるような急騰で、みんな人気にあおられて団子で売る。それが強引な買いが入ってまた一日に40−50円も上がるというような尋常ではない値動きなのだ。ストップ高を交えるともう売り方はすぐに追証の準備になる。特に連休をはさんだ金曜の午前、午後に団子で売ったような人はもう正気の沙汰の売買ではない、意地だけで資金一杯に売っているのだ。胴には全部こちらの手の内が筒抜けなんだからこうなるとひとたまりもなく狙い撃ちということで殺されることになる。月曜の寄りは窓を30−40円も開けて始まれば直ぐに追証である。
 そもそも追証が来るような人は、資金管理が零点だから来るのであるという自覚がない。だから必然で負けるしかないということになる。せかっくコツコツ前半で買いで稼いだ利益の5倍も8倍もの大損が数日の無理筋の玉操作で出来てしまうのだ。初心者の売りはこんなものだ。目先天井圏の売りは一番難しい。だからよぼど慎重にやらないと100%担がれて殺される。上手くなった人はだからそんな売り方は絶対にしないのだが、当て屋の感覚だと結局そうなって崩れるということが起きる。まだそれでも半分でも資金が残れば幸運だが、追証1回で担がれて踏めば維持率から考えて大半の買い玉まで投げさせられる。それも損だと資金は2割ぐらいがやっと残るという悲惨な状態で立ち直りが難しい。たった1回の迂闊なミスが命取りに近いミスになる。それに気がつかない迂闊さというものは、結局くどい話になるが、場帳、玉帳、折れ線の整備と玉操作の基本が身体にたたき込まれているのかどうかにかかているのだ。99%の人は出来ていないから、難しいことをしようとした途端にお釈迦になるのが必然であるといういうことだ。

14.04.24   234   - 1        - 1
14.04.24   228   - 1        - 2
14.04.28   234   - 1        - 3
14.04.30   226   - 3        - 6
14.04.30   221   - 3        - 9
14.04.30   216   - 3      - 12
14.05.19   211   - 5      - 17
14.05.22   218   1 -   1 - 17
14.05.22   220   1 -   2 - 17
14.05.22   222   1 -   3 - 17
14.05.23   219   - 1   2 - 17
14.05.23   224   1 -   3 - 17
14.05.23   222   - 1   2 - 17
14.05.30   218   - 1   1 - 17
14.06.04   233   1 -   2 - 17
14.06.05   238   1 -   3 - 17
14.06.05   236   - 1   2 - 17
14.06.06   231   - 1   1 - 17
14.06.06   234   1 -   2 - 17
14.06.09   240   1 -   3 - 17
14.06.10   238   - 1   2 - 17
14.06.10   232   - 1   1 - 17
14.06.12   236   1 -   2 - 17
14.06.13   234   - 1   1 - 17
14.06.13   236   1 -   2 - 17
14.06.16   234   - 1   1 - 17
14.06.16   236   1 -   2 - 17
14.06.16   234   - 1   1 - 17
14.06.19   238   1 -   2 - 17
14.06.19   241   1 -   3 - 17
14.06.19   240   - 1   2 - 17
14.06.24   243   - 2      - 17
14.06.27   252   1 -   1 - 17
14.06.27   264  17 -     0

勝手に転載したが見事なベトナムさんのリズムの譜だ。多分1枚の損、1円の損も無い。100発100中でまさに神だねと思う。ひよこちゃんはこれができる娘なんだ。大半の読者の100倍は上手い。レベルが比較使用が無いほど上手いということである。
リズムというよりスキャルピングに近い日計り商いの変形だろう。細かい繋ぎを入れるが決して3枚を超えない。17枚の根玉を作って寝かせて必ず1ー 2−の繰り返しで値幅を待つ。これを 2− 5− 5− 5−なんて売ったらみんな渡すことになる、そう彼は経験から知っているのだ。それは今までのひよこちゃんの売買と同じだろうと思う。つまり砂場遊びになってしまうということだ。だから取れても売らないという我慢をしている。上手いから幾らでも彼は売れると僕は思うが、上手くいけば行くほど買い戻しがきかない。値が伸びれば押しは浅いものだ。ちょっとしたきっかけでもうやはり下がない、窓が空くという苦い経験を彼は何度もしたのだろうと思う。僕もそういう時期があったからわかるのだ。
丁半というのは 264 17−17 としたところで 渡さないで 17− と残す事だ。どのドテンをしたらまだ殺されるとベトナムさんは知っているからあっさりと渡すのである。つまり上があると彼は強く思っているのだ。
 人様の譜を勝手に解説して申し訳ないのだが、「上手い人の譜」の見方を下手な人の譜と比べる機会は滅多にないのだ。下手な人とはこれを見ているあなたの譜である。だからできそうも無いことをした途端にガッちゃうぜ(破産するぜ)と思わないと時間の問題で多分そうなる。300人いた生徒の中で大きくなれない人の大半はこうなる。利食いまでは出来るのに、そこから当て博打になっていくのは、利食いの後の休みがない、そのひと呼吸で命の有る無しに変るという経験がないのだ。仮にここで彼がドテンして 17−17から買い玉現物を外し 17−0から34−0まであるいは 51−0まで売ったらどうだろうか?スターマインが折悪しく出て200円も吹いたら即座に地獄行きになる。(他のお金があるからベトナムさんなら無論大丈夫だが)それをアマチュアは一日に80枚も100枚もザラバで売るのだ。「即死に決まってらあ」と言うほか無い。悲惨な電車事故はこうして起きると思う。上げ相場を売れば誰でもそうなるのだ。
値動きの方向に逆らうというのは「変動感覚の欠如」以外の何者でもない「当て博打」だ。破産必至となる。

さて場帳銘柄の月間高値と安値の分布を統計しようと一部分まとめてみた。初心者は参考にされない。
赤い矢印は 月初に安値を出して19日から月末に高値を出している。2日が安値21 20日が高値11だから発会に買って20日以降に買えばアホでも利食いだ。鞘がまだ大きくはないがそれでもベトナムさんの値幅ぐらいは取れるはずである。
反面下げたものは4−10日に高値を取って翌週に安値となったものの塊が一部あるが数は少ない。つまり売ったら買い戻しが聞かないという統計になっている。押しが浅いのだから上げの初動という特徴になっている。
225を見れば高所恐怖証が出てしまうが、場帳ならまだまだ始まったばかりという感覚に嫌でもなるのだ。
だからニューズは見るな、指数は見るなが正しいのだが、下手ほどそれが気になるのだ。だから寄り付き成り行きにして、日中の売買はするなというアドバイスになるのである。




















































































































































夏目の祝言

 如月の満月の頃、夏目の祝言が盛大に「蝦夷屋」の大広間で行われた。蝦夷屋は成り上がりの店で、米の他、主に蝦夷地の特産品を独占的に取り扱う北浜では異色の店であった。初代の照佐衛門は蝦夷から鹿、昆布、ニシン、タラバガニ、ハタハタを独占的にアイヌを使って買い漁り、それを塩蔵して江戸幕府に直接販売することで巨利を得た。その後、蝦夷から南周りの回船を買収して逢坂に進出したやり手の成り上がりの店である。傾いた清水屋という店を買収し手代の多くを高給でよそから引き抜い「強盗照」の名で一躍北浜の寵児となったが、長年の過酷な仕事と酷い放蕩のせいで最近はめっきりとやつれて精彩がないが照佐衛門はそれでも江戸に2人逢坂に3人若いとびきりの遊女の妾を囲っていた。一人息子の暗佐衛門は幼い頃から病弱で何度も死にかけたが、なんとか20歳になったので家督を継がせる段取りを照佐衛門は取ったのだ。一方でその頃、大店の越後屋は2年続きの不作で米の収穫が激減したため幕府の御用商人として金策の命を勘定奉行直々にくだされ日本中の米を買い集め一時相場は急騰したが、保管していた北浜の蔵が大火事を出し巨大な損失を被る窮地に見舞われていた。大店始まって以来の崖っぷちである。ここに目をつけた蝦夷屋は、越後屋の一人娘 夏目を嫁に迎えることを条件に越後屋に10万両の融資を申し出た。背に腹は変えられず越後屋の主鬼蔵は夏目の嫁入りを認めざるを得なかった。ここに大店越後屋と成り上がり蝦夷屋の政治的祝言が盛大に執り行われることとなったのだ。


 夏目は鬼蔵の娘としてだけでなく、8歳から相場の見習いをさせられた。12歳から箱根の仙人のもとで相場道の基礎の基礎を叩き込まれ、16歳から手代の一人として越後屋の采配の一部を担った早熟の女相場師である。罫線読みには定評があり、蝦夷屋の主 照佐衛門は家督を実質的に夏目に継がせることで越後屋もろとも我が手にとの思惑があった。23歳の 夏目は 姉さん女房ということになる。
鼻っ柱の強い荒馬のような気性の夏目はまさに蝦夷屋にとってはウッテツケの嫁であった。
 12歳の頃の夏目は、まるで男の子のような竹を割ったような性格で手代たちを手こずらせた。それを見かねた鬼蔵は旧知の箱根の仙人の元へしばらく夏目を奉公に行かせることを決断した。一人娘を奉公に出すのは寂しかったが跡目を継がせるのは夏目しかいない。

 箱根の仙人は、鞘取り屋として若い頃は定期の繋売りおこない滑った鞘を確実に買い落ちし小さな利食いを重ねながら乗り換えを繰り返すという売買で期先を売って期近を落とすという売買を得意とした。乗り換えが上手いことで名を為した相場師であった。半紙に隅で書いた細かな罫線を沢山書いては、線組の型を丹念に拾った。また北浜で米相場の場帳を20年に渡り記録し続けた資料は、夏目が値動きを覚える時の重要な道具となった。不作の年、豊作の年、平年作の年と相場は米の発育と生産量に応じて独特の高下のうねりを示した。不作の年は期先は真っ先に跳ねる。短期で大きな天井をつけて揉み場に入ると売り買いが拮抗するがやがて少しダレて来る。そこで発育状況によって不作の度合いが高いと見るや一気に買い物が入り踏み上げとなって天井をブチ抜いて舞い上がる。そんな罫線を夏目は飽きずに何度も何度も場帳と引き合わせて眺めているような娘だった。
 夏目は12歳から箱根の仙人のもとで奉公をしながら罫線書きの勉強を始めた。毎日30枚半紙に墨と面相筆で器用に罫線を書くことをたちまち覚えた。性格は男のようだが手先は器用でその指は細く長くしなやかで美しい惚れ惚れするような形である。父親の鬼蔵とは似ても似つかない美形である。夏目は身体も娘の割には大きく足も長いので馬に乗る事もすぐに覚えた。鬼蔵にねだり駿馬を2頭、栗毛と黒毛の美しい馬を箱根に連れて来て熱心に面倒を見た。罫線を書かない時には箱根の山を馬で駆け回るまるで少年のような娘である。そんな夏目も15歳の夏になると鬼蔵から帰郷の命が出のだった。

 祝言の席は北浜最大と言われるほどの豪華絢爛さに満ちていた。白無垢の夏目の姿は見事な芍薬の花そのものであった。参列した男たちはその美貌に心を打たれ、夫の貧弱さを苦笑することとなった。夫の暗佐衛門はまるで釣り合いの取れない猿といった見窄らしさで失笑を買った。
祝言の夜、深酒をして酔いつぶれた暗佐衛門と床に入っていると障子をコツコツと指でつつく音がする。夏目は起きてそっと障子を開けるとそこには酔った照佐衛門の顔があった。
「夏目、少し肩が凝ったから按摩をせい。」
「ハイ、父上」
そう言うと二人は照佐衛門の奥の寝所に入った。奥の寝所は豪華な数寄屋作りの普請で床の間の4倍ほどもある小松石の浴槽には湯がなみなみとたたえられている。「夏目、背中を流せ」そう言うと照佐衛門は着物もフンドシも脱ぎ捨てて湯に入った。「夏目、お前も裸にならんか」無粋にもそう言うのだ。
夏目は一瞬躊躇したが「毒を食わば皿まで」そう念じて一糸まとわぬ姿で湯に入った。
「夏目、お前は美しい嫁だな。蝦夷屋はお前の腕と色にかかっている。蝦夷屋の全てがお前は欲しくて嫁に来たのじゃろ?さあくれてやるから俺の女にならんか?」
「暗佐衛門様はいかがいたしましょう?」
「あんたもんはほっておけ。そのうちいずれくたばるじゃろう。それより俺の子を産め、夏目。そうしたら身代はすべてお前のものになるじゃろ。」
「左様でございますか、父上。」
「いかにも。」
「かしこまりました。父上のお望みどおり、夏目は父上の女になりまする。」
「そうか、お前は賢い嫁じゃな、頭も切れるし、相場の腕もたつ。これでおまえに身代があれば鬼に金棒というものよ。」    (続く)

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 猫の場帳銘柄の請求をされる人がかなりいらした。年齢制限とか遠隔地にお住まいの方とか理由は様々だろうが、いくつか注意点を書いておく。

1 まず請求された人は全員が現在自分が負け組みである意識を持つ事が必要だ。相場は勝ってなんぼの世界で学校ではない。失敗は即お金がなくなる。それも大きく減ることが大半という事実をまず予定しておくこと。練習をしても目に見えて上達するような人は数%の世界であるから、すればするほどお金が減る。それでもそれをやらない限り上達がない世界という認識が必要だ。だからまあかなり変った人でないと相場には向かないと思う。普通の人には「勧めない」という理由がここにある。人に何かを教わらないと始められないレベルというのは最低の最低のそのまた最低のレベルだから100%負ける候補と言える。だから何故負けるわからないうちにいなくなる人だったということだ。

2 最低限の道具の整備をしてから練習をすること
月足グラフ、場帳、折れ線グラフ、玉帳の4点セットの完備とその手書きの筆記を1年以上はすること。1年では全く足りないが、1年でいろいろなことが自分でわかるはずだ。わかってから少なくとも始めないと、いくらお金があっても足りなくなるだろう。ベトナムさんは3年我慢してグラフだけ書いていた。3000枚だ。桁がこれぐらいのやる気がないと無理だろう。準備の目安は、場帳を1月1枚として(酒田4本)1000枚(50銘柄で2年相当)月足グラフ30年300枚、折れ線グラフ50銘柄3年分程度は、最低の最低限の量的目安と思う。勤めをしながら1年で片手間で出来る量とは思えない。
練習と準備を既に始めた人は、4当5落で大学受験の時より睡眠を削って書いているという連絡があった。この人は直接林先生に数回指導を受けている相場歴12年の人である。現在うねり取りは全く出来ていない。やっと自分が酷いという状態を「自覚できた」という感謝のメールがあった。

3 教科書にあるような典型的な値動きにならないことの方が圧倒的に多いということが1年資料を書いているとわかるはずだ。練習はたまたま取れてもすぐにそれ以上無くすという繰り返しになる。ここからが練習である。心理的にかなりきついと思われる。

4 銘柄は倒産の可能性が大いにあるものがたくさん混ざっている。そのリスクを理解しないでで売買するべきではない。ベータ値が高いという理由からの僕也の選定で、初心者の練習にむくかどうかは僕にはわからない。あくまで僕のやりたいものという選定である。当て物ならそれなりに楽しいだろうが、感覚と技術が無いと時間がたつと結果的には大きな失敗となるだろう。家を数軒分飛ばしたようなひどい例もある。
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リレー小説の登場人物と時代背景

書き始めたのが猫なので、リレーを繋いで行く際に必要と思われる登場人物の職業、人物像、年齢などを現時点で解説する。なおポッツイーとナッシュについては僕の性格付けよりもMr.Blank氏の描写を主にお使い戴きたい。物語の進行に予定調和がないわではないが、複数の書き手がぞれぞれ異なった視点と目的、表現によって進行する構成上の要素から、通常の作品とは全くことなる複眼性=並立的リゾームを措定している。ツリー状(樹木状)の権力関係でない1000のプラトーを目ざすが、実質的にそうは言いつつも、書き手の筆力には個人差があるのはやむをえない。それによって羞恥と気後れから参加者が限定されてしますという現実がある。お金には無関係な言葉のゲームであるから、あまり人の事など気にしないでどんどんと参加して欲しいというのが猫のお願いである。

1時代背景 
江戸時代後期、江戸は庶民文化、逢坂は商人文化が栄えて、経済は米中心の現物経済であるが、酒田と堂島に米の先物取り引きが世界で始めて行われるようになった。爺さんの定本の「酒田罫線法」とは事なるが、酒田罫線は逆バリの建玉法と線組みを持つ売買法で、口承で後の時代に伝えられたとされる。この投資法を巡って、様々な人物の栄枯盛衰の人物伝をリーゾーム上に並列で配置する。いわゆるテキスト2000字程度のショートノベルを時間軸や場面に応じてズラしながら進行を僕は予定している。ストーリーにキャラクターが一旦乗れば「レッドオクトーバーを追え」にあるような時刻表記で場面が変わるカメラアイでも良いと思われる。ショートを重ねてロングを作るという方法論が破綻が無いと思う。
別に主題が「農耕民と狩猟民」というようなありもしない無理筋で進行する必要もないし、自由な精神と自由な人生の選択という生き方を個人が苦闘しながら誰がどう選んでいくのか。どうやって戦いに勝って負けて死んでいくのかという「坂の上の雲」的な「大きな物語」がまず始まる。しかし途中からある出来事を契機に世界が変節して物事の流れが逆転していく。それを引き起こすのが「革命的」運動となるが、あまり筋を先に書くとつまらないので伏せておく。
横軸は「欲望と生活」♀と♂というありきたりではあるが、男女、またはゲイの愛憎物語、ヤバい関係も大いにアリのマルキドサドとマゾッホのリアリズムが楽しいか?と思われる。テキストによって法的な問題が起きる可能性のない部分で、黙字等の方法を各自工夫されたし。テキスト以外の写真に関しても、風営法と東京都条例にのっとった常識的表現をお願いしたい。

2登場人物
1猫太郎 虎とおんなの子供 孤児 母親不明 春寺の坊主に拾われ、寺で修行をしながら成長する

2ひみこ 虎とおんなの子供 猫太郎同様、春寺の坊主に拾われる。絶世の美女に育ち、この女を軸にひとつの男たちの欲望の渦と悲劇が次々に繰り広げられる。キャラとしてどんな性格が良いのかはライターの腕次第ということなる。

3春寺の坊主 悪役かあるいは神か? 不可思議で剛力なパワーのメタファーであり、孤児を助ける複雑な存在である。

4高僧 春寺の坊主の師匠であり視点の位置は当面「神」の視点であり、猫太郎に大きな影響を与えるが、、。

5ロンジ 逢坂北浜の店 「蝦夷屋」の手代 女主人「夏目」の愛人として引ひたてられ「ダメンズ」キャラにしている

6 夏目 店の女主人で相場の達人。旦那は不能なため男を買うという凄腕のやり手美女。男に人生を捧げない現代女子のメタファアー

7 箱根の仙人  酒田罫線の達人で、相場を志す人物たちの指導役

8 高麗の雨場 大陸ルートで 猫太郎、春寺の坊主の印度遠征を支援する外国人だがスパイ?

9 ポッツイー 狩りの達人の少年  印度の虎刈りを目さすナッシュの相棒
10 ナッシュ  元農民だが印度に虎退治に遠征する

以上が現時点での登場人物ですが、これでは単純すぎて展開が平べったい。それでスペャルゲストとして

11 虚無僧くん

12 荒波仙人 
13 アサキユメミシ
14 バカラ 師

というキャラを相場の達人として仕手戦に参加させようかしらん?などと思ってもいますが、これは余興です、ハイ。 物語進行はなんでもアリです。表記は日本語を基本としてそれ以外の表記(例 英語、中国語など)も使用して問題なしとしますが、原文と対訳を筆者が基本的に付ける事を条件としたいと思います。
その他、方言などリアルを伝えるものが重要で、「なにわ弁」が僕の場合特に勉強不足なので、へんな表現の表記が多発する恐れがありますのでご勘弁願います。

特別のお願い
テキストの文意からは女性のライターが現在おりません。どうしてもそういう視点がないと「おっさんのエロ雑誌かエロ本」で終わる可能性が大です。ぜひ厚みという意味でも女性ライターの積極的ご参加がお願いいたします。
                            猫次郎 拝
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