小説の楽しみというものは筋書きがどう転ぶか見当がつかないという点にもあるんだろうと思う。司馬遼太郎はファンが未だに多い作家だが、過去を書くということで日本人の浪花節をくすぐる農村小説であると思う。まあそういう大きな物語が
好きな国民性ということなんだろう。
実験小説を書いてみたら面白い暇つぶしになるんじゃないのかとフと思ったのだ。ネタがたくさんあるネット世界なんだから、キャラは豊富で困らない、書き手だってきっとたくさんいるんじゃないか?と思ったから、「農民と猟師」という視点でリレー小説を書いて結んでいくとどうなるか?
書き手の想像力が問われるから、とんでもない面白さがたくさん生まれるかもしれない。価値観の異なる多くの人がリレーで筋を進めていくと、どんな話になるんだろう?是非続きを書いて欲しいと思う。
キャラはベトナムさんをお借りした。まだ他のキャラが出ていないからいくらでも加筆が出来る。男性受けを狙うなら「飲む、打つ、買う」という要素にスピードとスリル、セックスが売りのポイントだし、ネーチャン受けなら全く要素が異なるはずだ。では始まり、始まり。
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農民と狩猟民の会話は基本的には通じない。同じ日本語のテキストを読み書きしても、生活の基本になる習慣の差というものは決して簡単には埋まらない。彼らは敵同士になることも多いからだ。
農民という仕事は、休み無く一年中、田んぼや畑を耕して、種をまいて肥やしをやり水を撒いて雑草を抜いて間引きをして収穫する。朝から晩まで働いて忙しい。あまり休む暇もない。日照りが続くと困るし、雨ばかりで日照がないとよく作物が育たない。でも一年を通じて、何かは大抵は取れるし、よほど天候が悪くなければなんとか悪いは悪いなりに工夫と協力をして作物をつくって生きて行く。出来た作物は貯蔵が利くものもあるから、不作の年のために蓄える。それが命の糧であるからだ。それが本能に何世紀も刷り込まれている。個人の意志で変えることはまず不可能だ。だから農民は一生農民として村社会で生きていくのが多分幸福なんじゃないかなと僕は思う。
一方で狩猟民の暮らしは、獲物を追って移動する。同じ猟場で毎年同じように獲物が取れるとは限らない。だから生きて行くためには、獲物の後を追って移動するということが常態の暮らしだ。農民のように作物が取れるわけではないから、獲物が一匹も取れない年もある。だが狩猟民も大きなマンモスのような獲物を仕留める優れた個体がいる。彼はマンモスの肉を塩蔵して洞穴に貯蔵する。餓えた年はそれを食べて飢えをしのぐ。獲物は新鮮なもののほうが美味しいのだが、餓えればしかたないからそれで飢えを凌ぐ。獲物が取れる季節は限られるから一年のうちでたった数回のチャンスに賭けるという仕事になる。普段は寝ているか踊っているか遊んでいるが
獲物を仕留める弓矢の修理をしている。あまりに獲物がいない時はしかたがないから村を襲って農民を殺して蓄えを奪う。生活のしかたが異なるから致し方ない事なのだが、生きるということは残酷な事だからそんなものだと割り切っている。
さてある日、農民の一人が狩猟の方法を教えてくれと頼みに来た。「はてな?」と思ったが別に教えてやる分にはかまわない。方法を教えてもそう簡単には獲物が捕れるとも思えない。「道具はあるのか?弓矢とか網だが、、。」と農民に利くと「鍬と鋤しかない。」と農民は答える。「それでは鳥は取れないし、狸は捕れないぞ。弓矢を作れ。」と教える。農民は村に帰って夜なべ仕事で一月かかってなんとか道具を自分で作った。そして狩猟民の所にまた訪ねに行ったが、狩猟民は獲物を追って移動してそこにはもういなかった。農民はしかたなく、その弓矢の練習を始めて、弓矢の使い方を訓練して次第に上手になった。
数年して狩猟民が村のそばに帰ってきた。立派な千里を走る馬数頭を従えている。馬には異国の御姫さまが綺麗な服をきて美しい冠をして乗っている。農民は近寄って訪ねる。
「大きな獲物を仕留めたのですか?」「ああ、そうだマンモスを3頭仕留めて隣の国の王に売った。美しい馬と姫を買った。お前も弓矢が上達したか?それなら南に行け。今なら大きな虎がいる。その虎を仕留めて王に売れば馬が買えるぞ。」
農民はそれを聞いて南に向かった。始めての旅である。やがて越南という場所に辿りついた。暖かい場所でバナナがたくさん成っている。バナナや南国の果物がそこいら中にあるからここでは餓えることはない。町中に美女がいる天国のような国だ。農民はバナナをたくさん食べて若い美女の一人を妻にした。毎日、酒盛りの酒池肉林の優雅な日々だ。こんなに良い暮らしが出来るのなら、何も苦労して農民や狩猟民をする必要は無い。ここで遊んで暮らせば良い。ここは天国だ。しばらくそこで幸福な暮らしをしていたが、ある日北の故郷の妻から手紙が届く。「不作で食料の蓄えが途切れそうです。早く帰ってきてください。獲物をたくさん仕留めて、、」
農民は北の国に妻と子供がいることを思い出して、新しい妻に虎の居場所を尋ねる。「虎はどこにいるのか?」
「虎は印度という西の大陸にいます。とても獰猛な動物で人を喰います。あなたは行ってはいけません。弓矢ではきっと虎を殺すことはできませんから、。それにお腹にはあなたの子供ができました。ここにいてください。」
農民は悩んだ。虎は怖いし、北に置いてきた妻や子供が餓えるも心配だ。かといって虎を仕留めて持ちかえらないと話にならない。虎の仕留め方をどうするのか男は知らなかったのだ。そこで男は新しい妻に聞いた。
「どこか土地がないか。作物を作りたい。広い土地がいる。川の側が都合が良いのだが、、」
「それなら越南川の東の土地があります。そこなら日当りは良いです。」
「よしそこで米を作ろう」そういうと次の日からせっせと寝ないで開墾し農業を始めた。越南は暖かい恵まれた気候だから、4ヶ月で米がたくさん収穫できた。それを売って男は馬と金を買って北に旅を始める。やっとたどりついた村では妻と子供が近所の家から食料を貰ってなんとか生活していた。男は馬と金を売って食料を3年分買って、近所の人に借りを返した。「あなた、虎はどうしたの?」
「いや越南には虎はいなかった。虎は印度という更に西の大陸にいるらしい。次はそこに行って虎を仕留める。」 (続く) |
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